洛陽の巻・第五回:美周郎、歌を献じて天の御使いをもてなすこと

1 2

 夜、俺は庭を歩いていた。
 道連れは、空にかかる望月一人。
 春分をすぎた夜風はほんの少しだけ冷たい。
 三国会談という名の宴の日々も終わって半月が過ぎた。城内はようやくお祭り騒ぎの熱から冷めてきているところだ。
 俺にとっても、この世界での日常が始まったという実感がわいてきた。帰ってきてからしばらくの騒ぎっぷりは非日常的だったからな。

 ふと、吹きすぎる風に、楽の調べが混じっていることに気づいた。か細いその音に導かれるように俺は歩を進める。
 だんだんと聞き取れるようになってきた楽の音には、声も乗っていた。低く染み渡るような、それでいて天に昇っていきそうな澄んだ歌声。

   呉戈を()犀甲(さいこう)を被る
   車の(こしき)(まじ)れ短兵接す
   (はた)は日を蔽し敵雲の若く
   矢は交して墜ち士は先を爭う

 黄河を模してつくられた人工の河のほとりに、その歌声の主はいた。
 黒髪が闇に溶けるような。
 その(かんばせ)の美しさに、月さえ恥じ入るような。

   余が陣を凌ぎ余が行を踏む
   左の(そえうま)(たお)れ右は刃傷す
   両輪を(うづ)めて四馬を繋ぐ
   玉枹(ぎょくほう)()りて鼓を撃ち鳴らす
   天時は墜ちて威靈は怒り
   嚴しく殺し盡くされ原野に棄てらるる

 美周郎とたたえられる智謀の士は、こちらに気づいた印に一度目線を伏せた。俺も静かに一礼する。
 彼女の指が動き、弦をはじく。そのほんの少しの動きにも、流麗な美が宿る。

   出でて入らず往きて反らず
   平原は忽にして路は超遠なり
   長劍帶びて秦弓挾み
   首が身を離るとも心は懲りず

 彼女と河を隔てて向かい合ったまま、その勇壮で哀しい詩を聞いていた。
 一瞬だけ、干戈交わる戦場の風が吹き渡った気がした。それは、熱く(かつ)えていた。

   誠既に勇のみならず又以って武なり
   終に剛強にして凌ぐべからず
   身は既に死して神となり以って(くし)
   魂魄は毅く鬼雄と爲りぬ

 びいん、と周公瑾の抱く楽器がひときわ長く鳴いた。
 静かな夜が戻ってくると、そこにあるのは、ぼうと心が抜けてしまったかのように突っ立つ俺と、月光に照らされ半神のごとく輝く冥琳の姿だけ。
 ふ、とその腕が掌を開いて俺に向かって差し出された。
 これは……歌えと言っているのだろう。しかし、俺に詩才などなく、詩経をそらんじることができるわけもない。
 しかたなく、唯一憶えている詩を口にのぼらせる。

   君に勧む金屈巵(きんくつし)
               コノサカヅキヲ受ケテクレ
   満酌辞するを(もち)いず
               ドウゾナミナミツガシテオクレ
   花(ひら)けば風雨多し
               ハナニアラシノタトヘモアルゾ
   人生別離足る
               「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 音程や発音など冥琳のそれと比ぶるべくもないが、とにかく吟じ終え、再び一礼した。
 深い礼が返ってくる。
「聞いたことのない詩でしたが、一刀殿のつくられたものかな?」
「いや、これから数百年後の人がつくった詩だよ」
 その言葉にぎょっとした顔になる冥琳。普通に聞けば狂人の戯言だ。しかし、彼女はふっと小さく笑みを浮かべた。
「天……か」
 その言葉にどんな思いが込められているのか、俺にはわからない。
 果たして、この世界の人たちは、俺という人間をどんな存在だと捉えているのか。
 まじめに考えたことはなかった。そして、これからもないだろう。
 俺にとって大事な人たちであることのほうが重要で、彼女たちにとってもそうであってほしい、そうありたいと願うだけだ。
「詩とは逆ですが、馳走いたしましょう」
 冥琳の言葉に顔がほころぶ。俺は勇んで足を踏み出そうとした。
「ただし」
 彼女の手が押しとどめるようにまっすぐ中空に突き出される。
「その河よりこちらは我が領土と心得られよ」
 どういう意味だ?
 俺はその場で歩み出そうとした姿勢のまま固まって、考える。
 河を越えるなということか?
 これは河のミニチュアだから、上流に行って回り込むのは簡単だ。
 しかし、そんな単純な謎かけなのか?
 そもそも彼女は我が領土とは言ったが、入るなと言っているわけではない。ただし、領土となれば、侵入する者の意図は明らかだ。
 それを奪い取り、征服すること……。
 そこまで考えたところで、足を踏み出した。ばしゃばしゃと水音を立てて、彼女に近づいていく。
 その音を聞いている冥琳は心なしか、震えているように見えた。それを生み出すのが喜悦なのか、恐れなのか、それとも怒りなのか、どうにも判別がつかなかった。
 彼女にもう触れられそうなほど近づいたところで、ようやく冥琳は顔をあげた。
 その完璧なまでに均整のとれたおとがいに手を添える。
「たしかに馳走いたしましょうぞ……」
 かすれた声がもれる唇に、俺は自分のそれを重ねていった。

 黒髪が寝台の上で、生き物のようにうねる。
 冥琳はさすがに少々緊張しているようで、表情が硬い。拒絶されているのではない証拠にその顔が真っ赤に染まり、もじもじと落ち着きがない。
「色仕掛けだとは思われませぬか」
 その緊張につられたのか、俺自身も緊張してしまい、咄嗟に口から出たのはまったき本心だった。
「俺は、大事な人たちを裏切れない」
 その瞬間に浮かんだ冥琳の表情を見て、心の奥底が鈍く痛む。
「だから、冥琳も裏切れない」
 はっ、と眼が見開かれる。言葉の意味をしっかり吟味するように、怜悧な光が眼鏡の向こうで輝いていた。
 その眼鏡に指をあて、目線で外していいか尋ねる。こくり、と小さく頷くのを見て、眼鏡を取り、寝台の横の卓に避難させた。
「俺たちは、誰も裏切る必要なんかない、そうじゃないか?」
「……はい」
 返事の前の沈黙は、躊躇いではなく、覚悟のためのもの。そう感じた。
 寝台の上で抱き合っているだけでもお互いの肉の熱さが伝わってくる。
 冥琳の手が俺の背をなで、俺の手が強く冥琳の体をかき抱く。それだけでも幸せが体の中から溢れ出てくるようだ。
 磁石のようにどちらからともなくひきつけられ、口づけをかわす。
 一瞬たりとも離れたくない。息をすることすらもどかしく、俺たちは一つになりたがっている。そのために邪魔になる衣服を競うように脱ぎあい、脱がしあった。
 黒曜石のように輝く肌を俺はなでる。
 そのなめらかさ、その温かさ。
「綺麗だ」
 思わず漏れた声は、本人に聞かせようと意識すらしていなかったものだ。冥琳は花のような笑みを浮かべ、俺の熱くたぎったものを握ってきた。
「つっ」
 触れてくれたのは嬉しかったが、力加減が強すぎて苦鳴をあげてしまう。
「あっ、すまない!」
 あわててぱっと離される。離れれば離れたで寂しくなるものだ。
「いや、大丈夫。もう少しやわらかく触ってくれれば」
「わかった。うん。だ、大丈夫だ。ほ、本で読んだから」
 え?
 疑問に思う間もなく、今度はしっとりと指が絡んでくる。
「あつい……。人の体がこのように熱くなるのか……」
 ぶつぶつと小さく呟く冥琳の顔にキスの雨をふらせ、どうにか緊張をほぐそうとする。
 嬉しそうに身をよじるが、俺のものを握った手は動こうとしない。力を入れないようにと気遣いすぎて、逆に肘のあたりがぷるぷる震えていた。
「こ、これを口でしたりするのだろう?」
 知っているんだぞ、と胸を張るのがなんともいじらしく可愛らしい。いや、冥琳の胸は張らなくても充分以上にたわわですが。
「ねえ、冥琳」
「なんだ?」
「今日は俺に任せてくれないかな?」
「しかし、私だって一刀殿に気持ちよくなってもらいたくて……んっ」
 肩口に強くキスすると、わずかにキスマークが残る。
「だめ?」
「わかっ……くうぅ」
 たっぷりとした乳房に羽のように軽く触れるだけで、嬌声が漏れる。
「わかりましたっ、でも、次はっ」
 言ってから、自分の言葉に驚いたように口をつぐむ冥琳。
「ああ、次は、冥琳に任せるよ」
 次があるということを、素直に嬉しく思いながら、彼女の体にむしゃぶりつく。
「正使は、本来っ、孫権様であったはずなのですよ。それを私が無理を言って変わってもらって……んっ」
 いま、冥琳は呉の全権大使として洛陽に駐留している。
 俺が華琳に話して聞かせた大使館制度のテストとして、呉からは正使に周瑜、副使に周泰が、蜀からは正使公孫賛、副使厳顔、それに南蛮から孟獲とその部下が派遣されているのだ。
 南蛮については少々おまけの感が漂うが……。
 多少遅れるものの、こちらからは半年後に稟が呉へ、秋蘭が蜀へ赴く予定だ。
 そのことはいい。俺もよく知っている。
 しかし、いま急に話すようなことでもない。あるいは、唐突な話題転換は、照れ隠しのためもあったかもしれない。
「俺のため?」
「そうだ、と言ったら、喜ばれるかな?」
 普段の余裕ある冥琳の顔にふと戻り、からかうように問いかけるのを、まっすぐ見据える。
「ああ、本当に嬉しい」
 ぷい、と横を向いた顔は、真っ赤に染まっている。うなじに舌を這わせると、体が小さく震えた。
「もちろんっ、それだけでは、ありませ……んが……」
「でも、そう思ってくれる部分もあったってことだろ?」
 耳元でささやく。手をどこに置こうか戸惑うように、俺の背で彼女の指がゆれ惑う。
「……はい」
 ほんの少し悔しそうに、彼女は首肯してくれた。

 彼女の中は、火傷しそうに熱く、強烈な締めつけと、どこまでも吸い込まれそうなやわらかさを兼ね備えていた。
「ふくっ……」
 思わず呻くと、彼女の中で俺のものが跳ね、少し辛そうに顔をしかめた。
 けれど、全体としてみれば、男のものを受け入れるのがはじめての彼女が、俺のものが入ってからずっととろけそうな顔をしてくれている。
 そのことが無性に嬉しかった。
「一刀……殿が、私と……私と……」
「ああ、いっしょだよ……。冥琳と一つだよ」
 ふんわりと笑む顔は、普段は決して見られないほど柔らかなものだった。
 もしかしたら、冥琳の本質というのはここにあるのかもしれない。
 美しく、頭も冴え、まさに天より二物どころか数限りないものを与えられた女性は、しかし、俺の腕の中で、少女のようにあどけなく微笑んでいた。
 彼女の中の感触を味わいながら、ゆっくりと腰を動かす。
「はっ、あっ」
 痛みはあるのだろうが、それよりも俺と一体だという感覚が勝るのか、冥琳の顔はもはやしかめられることもなく、こちらの動きにともなって様々な喜悦の表情を浮かべる。
「いっしょ……ずっと……いっしょ……んぅっ」
 しとどに濡れた秘所がさらに潤みを増す。
 締めつけは変化して、信じられぬほど複雑な動きを伝える。まるでそこが独立した生き物であるかのように蠢く冥琳の内奥。
「こ……れは……」
 言いようのない感触に腰の動きが早まる。思わず漏れた声をごまかすように、彼女の唇をむさぼった。
「はっ、ふううっ」
 くちゅり、ぴちゃり。俺と彼女の唾液が交じり合い、閉じきれない口の端から、流れ出ていく。
 だらだらと首筋まで垂れていくのを、指で塗り広げた。ぬちゃりと音をたてて、俺と彼女の唾が冥琳の肩を覆っていく。
 彼女の中の心地よさにつられて、腰の動きは止まることはない。
 彼女を気持ちよくさせてやりたい。自分が気持ちよくなりたい。
 二つの欲求が俺の中でせめぎあい、二つ共に爆発するように脳天を貫いた。もはやテクニックなど忘れ、本能の赴くままに彼女を抱きしめ、はげしく突き、同時に口中を舌で蹂躙する。
「んーーっ、はっ、くふうっ」
 彼女の内側の壁をこすりあげると、耐えかねたように背が反り返る。
「ふわっ、知らないっ、これっ、知らないっ」
 とぎれとぎれに叫ぶ声に、隠しきれない喜びが潜んでいる。
 体が少し離れたのをいいことに結合部分に手をやり、肉芽を探り当てた。包皮の上からゆっくりと愛撫すると、反り返った背が軽く痙攣する。それが、彼女を通じて俺のものに響いてくる。
「一刀殿、こわい、これ、一刀殿が、ああっ」
 冥琳が頭を抱えるようにして声をあげる。凄絶と言うにふさわしい表情は、恐怖と愉悦と快楽の狭間でくるくると変化していた。もはや目の焦点は外れ、口の端からは涎が垂れおちる。
 彼女の耳元に口を近づけ、冥琳、と何度も優しく名を呼ぶ。
「いや、こわい、こんなの、いやっ、わからっ、なっ!」
「いいんだよ、そのまま流れに任せて、ほらっ、もっと感じて」
 クリトリスの包皮をむき、ゆっくりと彼女の蜜液に塗れた指で転がすと、二度、三度と痙攣する褐色の体。
「ああっ、一刀殿、一刀殿の、ああっ、わからないわからないわからない、ふわっ、ああ、一刀殿、離さないで、こわいっ、こわいっ」
 びくびくと震えながら、俺の体にしがみつく冥琳を優しく抱き留め、俺はラストスパートに入る。快楽で頭が焼きつきそうになりながら、彼女の中をかき混ぜる。
「――っ」
 音にならないほどの叫びが彼女の喉から放たれ、ぎゅっと強く肉の壁が俺を締めつける。その途端、俺は彼女の中に精を放っていた。

「ふふ、祭さまにしかられるな」
 荒い息も収まったあと、冥琳が俺の腕の中でぽつりとつぶやいた。
「他国に仕える者に、心を許すなど、と」
 それくらい、祭なら笑い飛ばしそうだけどな。大事なのはそんなことじゃない、と。
「俺たちは本当に別の国に仕えているんだろうか」
 絹のようになめらかな髪を指に絡ませながら、俺は前々から疑問に思っていたことを口にする。
「この大陸に住む人々のために働いているんじゃないかな」
 魏、呉、蜀、それぞれに理想があり、それぞれにやり方がある。けれど、少なくともいまの三国のトップに、私欲だけで動いている人間などいはしない。各自がなすべきことを通じて、俺たちは民のために働いているんじゃないだろうか。きれいごとだとは思うが、それをないがしろにしたら、俺たちはやっていけない。
「……祭さまが大立ち回りをしたというのは聞いたかな?」
 しばしの沈黙の後、冥琳は不意に言葉を放った。彼女の細い指が、ゆっくりと俺の頬をなでるのが心地良い。
「ああ」
 もちろん知っている。ぼろぼろになって戻ってきた祭と、昼日中から酒を酌み交わすはめになったのだから。あの日、珍しく泥酔した祭が浮かべた涙を冥琳に話すわけにもいかないけれど。
「ふふ……あの方はお強い。雪蓮はじめ呉の重鎮全てをなぎ払って、あなたの下に帰って行かれたわ」
 うらやましいひと、と軽くつねられる。妙に少女っぽい仕種をする冥琳は可愛くてしかたないが、その後にあった公式行事に顔を腫らした孫権さんが出てきたときは、俺はもうどうしていいかわからなかったものだ。
「しかし、なにより強いのは、心だ。我等全てを打ち倒せるほどの心……我等にはそれがなかった」
 俺の腕の中でもぞもぞと動き、ちょうどいいポイントを探す冥琳。ちょこん、と俺の腕にあごをのせて、こっちの顔をじっと見つめる。
「魏の飼い犬に成り下がっておきながら、孫呉の王でございと胸をはるとは情けない、と雪蓮が罵られても、それを跳ね返すだけの心の強さが、我等にはなかった」
 いやはや、祭もすごいこと言うな。彼女のことだから考えがあってのことだろうが……。なんだかんだ言っても、呉のことを思わずにはいられないだろうから。
「ふふ、そう罵られて、一番に動くべき私や雪蓮が動けなくなったのだよ。その言葉を取り消せとうちかかっていかれたのは仲謀様だった」
 愉しいのか、それとも自嘲なのか、冥琳の顔には笑みが浮かんでいる。
「どだい、勝てるわけがないのだ。我等に武芸を仕込んだのは祭さまだぞ。仲謀様がはね飛ばされ、それに激昂した思春(ししゅん)……興覇はよくやったが。動揺した心でなにほどのことができよう。あれは、祭さまにとってはひよっこどもの駄々に過ぎなかったろうよ」
「雪蓮や冥琳はすさまじく強そうだけどね」
「おや、真名を許されたか、それは重畳」
 孫策と仲よくなっておいてくれ、と頼んできたのは当の冥琳だ。
 けれど、雪蓮に真名を許されたのは、ほとんどが祭のおかげだろう。実際、真名を呼べと言われたのも、祭に別れの酒を持ってきた時のことだったし。
「たしかに雪蓮は強い。だが、それは背負っているからだ。同じだけのものを背負った祭さまに勝てはしないさ」
 なんとなく、冥琳の言うことがわかるような気がした。武で言えば、祭はもとより凪たちにも敵わない俺だが、凪の拳と華琳の鎌では一撃の重さが違うことは知っている。
 それは、物理的な打撃力の違いと言うよりは、質の違いだ。
「あの方は言っておられたよ。私はすっかり暗唱できるほどだ。『呉の民のためじゃと? 父祖の地のためじゃと? 小さい小さい。大陸の民のためを思え。己が切り拓いた大地のためを思え。己がなすべきことを承知しておるならば、儂に向かって呉を裏切るかなどと吐けぬはずじゃ』」
 冥琳は目を伏せた。その言葉に恥じ入るように。
「そして、こう言ったのだ。『儂は天に仕える。おさらば』と」
 人生足別離。
 俺が謡った唐の詩人の詩の一節を、冥琳の美しい声が繰り返した。友の門出を祝う、切なくも希望をこめたつぶやき。
「私はやはり雪蓮のために働こうと思う。祭さまの叱咤に応えるためにも、な」
 でも……、と彼女は俺に体重を預けながら呟く。
「情と実は分けられるつもり。あなたも……そうだろう?」
 その声はかすかに震えていて、まるで拒絶されるのを恐れるかのようで。
 一瞬、彼女の姿が、歳経てない少女のように見えた。
「いまは、ただの男と女だろ」
 微笑みの形が刻まれた唇が再び俺のそれにあわさった。

1 2

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です