洛陽の巻・第四回:群雄、都に集いて酔いつぶれること

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 そうして、騒がしくも忙しい日々が再びおとずれる。
 幹部勢によって行われた手配によって、各地からそれなりに食材が集まり、流琉の『天の国メニュー』のアレンジも徐々に進み、俺は試食と雑務に忙殺された。
 その間にも各地からかつてその武を競い合った群雄たちが続々と都に入り、三国の平和――それは華琳の武威によって築かれ、維持されている――を祝う宴がついに始まったのだった。

 祝宴当日、俺は流琉に頼まれた通り、手巻き寿司を握っていた。
 通りがかりに具材を指示してもらって巻いてやるのもあるし、一定の組み合わせで皿に盛りつけて各所に配膳することにもなっているので、巻き続けだ。
「ああ、なるほど。この形は手早く巻くためもあるのですね。天の国の料理というのは興味深いですね」
 ベレー帽と魔女の帽子みたいなのをそれぞれ頭にのせたちびっこ二人――片方はもう片方の背中に隠れるようにして――が俺の手元をじーっと見ては色々と話している。
 これが伏竜鳳雛だというのだから……。
 信じられるか? 開場まではエプロン姿で給仕していたんだ。
 あの諸葛亮と鳳統が!
「なにか握ろうか?」
「ああ、いえいえ!」
 顔を赤くして、わたわたと手を振る孔明ちゃん。
 士元ちゃんはさらに小さくなって必死で孔明ちゃんの背中に隠れようとする。帽子の先があわてぶりを示すようにぴょこぴょこ動くのが可愛らしい。
 二人ともこの小さい体で大食漢ということもないだろうし、あまり勧めるのも悪いかな。
「じゃあ、俺が居たところの話でもしようか?」
「はわっ。よろしいのですかっ。ひ、雛里(ひなり)ちゃんどうしようっ」
「あうう。天の国のお話、聞きたい……」
「そうだなー、まず、俺の世界は絡操がすごく発展していて、たとえば、これそのものじゃないけど、これと似たような料理を、具材さえ用意しておけば自動でつくってくれたり……」
 そんなことを話して、はわわっだのあわわっだのいう感嘆詞を引き出していると、聞き慣れた声が近づいてくるのに気づく。
「せやから、鎮西府に入るんはええけど、桃香(とうか)の許しが先やって」
「だから、その許可を得るための元として任官があるほうがさー」
「まあ、西涼に関わりたいいうんはわかるけどなあ」
「やあ、霞、それに馬将軍」
 声をかけると、二つの顔がこちらを向く。霞の顔がぱっと笑みに彩られるのは見ていて本当にうれしいものだ。
「一刀ぉ。こんなとこにおったんかー。大将んとこにおらんからどうしたんかと思たわー」
「どう、霞。手巻き寿司」
「おー。一刀がつくってくれるんか。そりゃええわ。ほら、(すい)もどうや? うちは、このたまごとー……」
 霞が指定する具材をひょいひょいとつまみながら、馬超さんに目線で促すと、彼女は何にしていいのか戸惑っているようだったので、俺がチョイスしてつくってやる。
「はい、どうぞ」
 俺から受け取り、もぐもぐと食べる少女たち。
 馬超と張遼がならんで手巻き寿司喰っているところなんて、想像もしてなかったが……。
 まあ、実際に目の間にいるのは、笑顔が可愛い霞と、ポニーテールを揺らす元気そうな女の子なわけだけど。
「なんのお話をしてらっしゃったんです?」
 頬張るのも一段落したところで、孔明ちゃんが訊ねる。俺から見ていても実にうまいタイミングだ。
 そのあたりは、やはり知恵者らしい。
「うわ、朱里に雛里、いたのか」
「あう……」
 こくこくと頷く士元ちゃん。頷くと帽子についたリボンがひらひら揺れる。
「いやな、うちが今度鎮西将軍になるんよ」
 鎮西将軍というと……将軍位の中でもかなり高い位階のはずだ。
「はわわっ! それはおめでとうございます。西羌対策ですか?」
「せやな。北方の烏桓相手にしとったけど、今度は羌に氐や」
「涼州で羌相手にするなら、やっぱりあたし、西涼の錦馬超だろ」
 そう言って胸をはる馬超さん。そういえば、華琳が攻め込むまでは、馬超さんの母馬騰を中心に羌にあたっていたと聞いたことがある。
「だから、鎮西府に入れてくれって言ってるんだけどさー」
 霞がだめだって言うんだ、と彼女はしょんぼりした口調で言った。
「せやから、だめとは言うてへんで。ただ、桃香の許しをもろてこな」
「それは、まずいかもしれませんね」
 それまで腕組みをして考え込んでいた孔明ちゃんが霞の言葉を遮るように呟いた。
「どういうこっちゃ?」
「……あ、すいません。
 ええとですね、翠さんが鎮西府に入るのは、少々問題があるんです。さきほどおっしゃっていたように、翠さんはじめ馬一族は西涼を根拠地としています。
 そういう意味では、鎮西府に入り、霞さんの下で西羌にあたるには非常に強い力となるでしょう。しかし、涼州という根拠地に馬一族の棟梁が入れば、それは、すなわち涼州の力を翠さんが糾合するものと見られます。そして、翠さんは、現在では蜀の武将と認識されている。
 ここで懸念されるのは……」
 ふと士元ちゃんが孔明ちゃんの袖をくいくい、とひいた。それまで立て板に水のごとく話し続けていた孔明ちゃんが言葉を濁す。
 きょろきょろと周囲を見回し、喋りすぎた、という風に顔をうつむかせた。
「巴蜀と涼州、二方面からの魏への侵攻」
 俺が低い声でそう言うと、孔明ちゃんと士元ちゃんが固まり、馬超さんと霞の顔には驚きの色が広がる。
「それが、赤壁後の蜀の大方針だった、違う?」
 元の時代に戻ってから、俺は、俺の世界の三国時代の知識を色々と蓄えた。その上で、華琳から回された数多くの報告書を読めば、見えてくるものもある。
 華琳や三軍師はとっくに理解していて、しかし、戦国の世が終わった以上、はっきりとは口にしないこと。
 それを俺はぶつけてみたのだ。
 孔明ちゃんと士元ちゃんにとっては俺の口からそんな言葉が出たのが、驚天動地の出来事だったらしい。硬直したままこちらをじっと見つめるばかりだ。
「そういうわけだから、馬超さんが鎮西府に入ると余計な緊張を生みかねないと、彼女たちは心配しているんだ」
 探るような二対の視線を受け、俺は冷や汗をかきつつそう続ける。
「でもなあ、あたしとしてはやっぱり故郷の仕事をしたいわけで……」
「せやけど、そうなると翠自身の問題と違うて、他人の印象の問題やからなあ……」
 馬超さんがぼやく中、ぼそぼそと俺には聞き取れない声で士元ちゃんと孔明ちゃんが何事か話している。その間も視線は俺の一挙手一投足を追っている。
 こりゃまずいこと言っちゃったなあ。
「なあ、朱里に雛里、どうにかならないか?」
「は、はい?」
「あわわわ」
 俺の言動に気を取られていた二人は、馬超さんの問いかけに反応できず、おろおろしてる。
 ここで俺がまたなにか言うと警戒心を強めるだけだろう。ひたすら寿司を巻くことにしよう。
「だから、あたしが鎮西府で働くのはまずいってのはわかったけど、それって今後ずっとどうにもならないもんなのか?」
「いえ……。張遼将軍の運営が続いて、地盤が固まれば問題はないと思います」
「涼州の安寧は魏、蜀共に経済的にも恩恵を受けますから、情勢が安定すれば蜀側から人を派遣しても不自然ではないでしょう」
「でも、やっぱり一年か二年は待ってもらうことになるかと……」
 士元ちゃんと孔明ちゃんが順繰りに説明している。
「むー」
 それでも馬超さんは不満顔だ。まあ、しかたないところだろう。
 そこへ、士元ちゃんが孔明ちゃんに相談するように話しかける。
蒲公英(たんぽぽ)ちゃんに入ってもらって、連絡をとる形にすればいいんじゃないかな、朱里ちゃん」
「ああ、それはありかもね、雛里ちゃん」
「馬岱か? それならうちにとっても好都合やな。馬一族を取り込んだっちゅう形にみせられるやろ」
「蒲公英かー、まあ、しかたないかー」
 がっくりと肩を落としつつ、それでもなんとか納得したような馬超さんは、あらためて俺がつくり置きしておいた寿司を手にとって食べ始めた。
「ふるさと、か」
 彼女の話を聞いて、俺は、なんとなく感慨にふける。まだ孔明ちゃんたちの視線が痛いけど、気にしない。
「あー」
 事情を知っている霞が、ちょっと気まずそうになんとも言えない声をあげた。
「ん? どうした?」
「いや、俺はもう故郷には帰れないからね。帰るつもりもないけど」
「そうなのか?」
 不思議そうな顔。西涼という土地に対して愛着と責任感たっぷりの馬超さんにはなかなか理解できないことなのだろう。
「うん。強いて言えば、霞や華琳、季衣や流琉、みんながいる場所が俺の故郷かな」
「かーっ、泣かせるこというやないの」
「お前、変わったやつだなあ」
 感心したように言われても、ちょっと困る。
「私は、わからないでもないです……」
 メイド服のようなひらひらした服を着た少女が横合いから話の輪に入ってきた。
 優しくふわふわした髪の可愛らしい少女だ。印象もふわふわしている。
 しかし、着ているのは、メイド服そっくりに見えるんだけど、この時代にこんなのありえるのかな。エプロンがあるのは確認してたんだけど。
 それにしても、この娘、どこかで見覚えがあるような……。
「おー、月やん。いま、桃香んとこも出てるんやってなあ」
「霞さん、お元気でしたか。はい、いまは詠ちゃんたちと一緒に」
 霞の知り合いか。
 霞……霞と知り合ったとき……。
 俺の脳内で過去の記憶と目の前にいる娘の姿がつながる。
「そうだ、この城内で見たんだ。反董卓連合で攻め入った時に。なあ、あの時の娘だろ?」
 びくっ、と全員の体が震えた気がした。
 なんだ、そんなに悪い思い出か?
 ああ、まあ、霞はその時董卓側だしな……。
「あの後劉備さんのところに行ったんだったよね。もう一人の眼鏡の娘は元気?」
「は、はい、その折は……」
 ぺこりとお辞儀される。
 なぜか遠巻きに見守るような風情の他の連中の中で、彼女は儚い笑みを浮かべた。
「董白、と申します」
「これはどうも。俺は北郷一刀。あらためてよろしくね。どう? 手巻き寿司」
 そう言って勧めてみると受け取りはしたが、なんだか戸惑っているようだった。
 ためつすがめつ観察している。
「これは、むいて食べるのですか?」
「いや、そのままかぶりつけばいいんだよ」
「はい……」
 かぷり、と口をつけ、咀嚼する。上品な子だなあ。
 以前会った時、沙和がお姫様だと言っていたのがよくわかる気がした。姫という意味では、美羽やら色々まわりにいるのだが……。
「おいしい」
 はにかむ笑顔も上品だ。こういう消え入りそうなお姫様というのは俺のまわりでは珍しいな。
「あ、そうだ。忘れていました。厨房で人手が足りないので、朱里ちゃんたちを呼んでくるよう言われていたんです」
「はわわ」
「あわわ、大変です」
「じゃあ、行きましょう。北郷さん、おいしい食べ物ありがとうございました」
 もう一度お辞儀をして、彼女は孔明ちゃんたちを連れて立ち去っていく。ちっちゃな頭が三つそろってぱたぱたと人の群れをぬって進んでいった。
「ええ娘やろ、月っち」
「そうだな」
 いつの間に取ってきたのか、酒杯を手に言う霞に答える。
「手ぇだしたらあかんで」
「あはは。なんだよ、そんな節操なしじゃないよ」
「どやろなー」
 にまにまと笑う霞は本当に愉しそうだ。彼女は酒の瓶を掲げると、
「さ、翠も一刀も呑もうや」
 と俺たちに酒杯を押しつけてきたのだった。

 宴もたけなわ、酒飲みはしっかりと酔い、酒の弱いものは酔い潰される頃合い。

 俺は、一人、日の落ちた庭に出ていた。

 庭園は位の低い武官文官に解放されて、同じように宴が開かれていたはずだ。しかし、重鎮たちの宴と違って常識的な時間に解散となったようだ。
 まあ、トップ連中は宴そのものが仕事だから翌日多少寝坊しても許されるが、下っ端にそれは通用しないからな。
 残るのは多数の卓と、そのいくつかにぽつぽつと置かれた灯火だけ。
 その合間を、風を感じながらそぞろ歩く。
「おや、旦那様?」
 どれくらい経ったろう。自分でもおぼつかない体を妙に楽しみつつ進めている間に、ふと声がかかる。
「祭?」
 目をこらすと、暗く落ちた卓に、祭たちが座っているのが見えた。
 近づいていくと、華雄に美羽、七乃さんと、このところ俺が預かることになった連中が勢ぞろいしている。
「みんな、なにやってるの?」
 卓を見る限り、酒を楽しんでいたのはわかるが……。
「私は元々ああいう場は好きではない」
「呉の連中とこの場で儂が話し込むのはふわさしゅうないと思いましての」
「妾は楽しんでおったのに、本初のやつめが鬱陶しくての」
「ほんとは、からかう麗羽様からすたこらさっさと逃げてきたんですよー」
「うー、三十六計逃げるに如かずなのじゃ!」
 それぞれに理由があって、宴を抜けてきたようだ。華雄はもしかしたら、最初からこちらの宴にいたのかもしれない。
「旦那様はいかがなされたかな。恋の鞘当てに飽いたのですかな」
「あはは。いや、酔いをさまそうとね。外の空気を吸いにきたんだ」
 そう言うと、祭は困ったように微笑んだ。
「ふむ。旦那様。いかに祝宴とて、あのような場は魑魅魍魎はびこる政の場でもありますのじゃ。そのような場合に、酔いを見せるのは弱みを見せると同じこと。計算づくならよろしいが、酔ってしまった、では修行が足りん」
「うん……わかる。……そうだな、今度祭に鍛えてもらおうか」
「儂に? まあ、酒を鍛えるのはよろしいが、儂はそのような飲み方をせんでよい立場じゃからのお。この中で、旦那様と同じく気をつけねばならぬは袁術くらいのものじゃ」
「なんで妾だけなのじゃー?」
 不思議そうに首を傾げる美羽。その前の杯からは甘い匂いが漂ってくる。
 蜂蜜水か? もしかしたら、蜂蜜酒かもしれないな。
「他は武を頼みとするものたちだからだろう。それとも、お主、これより武を鍛えるか? お主の年ならなんとでもなろう。うん、私が鍛えてやってもよいぞ」
「い、いやじゃ。妾は痛いのはやーなのじゃ」
「では、なんとする? もはや名家がどうのと言える状態でもあるまい」
「お、お嬢様はですねー」
 七乃さんが口をはさもうとするよりはやく、美羽が手を振り上げて、愉しそうに宣言した。
「妾は……よーほーかになるのじゃ」
「なんだそれは」
「一刀が言っていた職なのじゃ。蜂を育てて蜂蜜を取るのじゃ」
「ほほー。そのような術が天にはありますのか」
「まあ、巣箱設置して蜂に集めてもらうんだけどね」
 俺のいた時代じゃ、ベランダで、ペット感覚で育てている人すらいるくらいだからなあ。この時代でも巣箱とかを工夫すればなんとかできるはずだ。大量生産は難しいけれど。
 実際のところ、蜜蝋も含めて、蜂蜜関連はあって悪いものじゃない。
「しかし、袁術では、己で喰うてしまいそうですな」
「美羽様が一番に食べて、残りを売るんですよねー」
「そうじゃ! 袁家印の蜂蜜を売り出すのじゃ」
 くりんくりんと頭を振って、どうじゃ! と胸をはる美羽。華雄と祭はそんな彼女を面白そうに眺めていた。
「仲良くやってくれているみたいだね」
「ん? 儂と袁術たちのことですかの。
 儂は一度死に申したからの。昔の遺恨など憶えていてもなんの足しにもなりませぬ。
 それに、孫呉の連中が袁術を莫迦だの阿呆だの言うて目の敵にするのは本当にそう思うておるからではのうて、頭を押さえつけられておった鬱憤晴らしにすぎませんのじゃ。
 いまやそんなことは関係ないというに、一歩ひいて見られぬうちは気づけぬ。厄介なものじゃ」
「私も董卓様のことで袁術には遺恨があるのだが……。まあ、気にしてもしかたあるまい」
「なんで妾ばっかりなのじゃー」
 ぶーぶーとぶーたれる美羽。
「そりゃあ、お嬢様が意地悪だからですよぅ?」
「むう、七乃はうるさいのじゃ。……そうじゃ、一刀」
 ふと、美羽は自分に不利な話をそらすように俺に向き直った。
「一刀と同じ酔っぱらいじゃったら、そこにもおるぞ」
 美羽が指さす先は、近くの草むらだ。昼間なら昼寝に最適な芝草の生え具合だが、いま、そこにいるのは猫の群れだけだ。
 ひーふーみー……なんと、二〇匹近い。
 なんであんなに群れているんだろう。
「猫がか?」
 まあ、マタタビで酔うってよく聞くけど。
「違うのじゃ! その下敷きになっておるのじゃ」
 いらだたしげに髪を振る美羽。
「え?」
 目をこらすと確かに誰かいる。
 少女のすらりとした足が、猫の集団からかいま見える。
「なんだ、あれ」
「周泰だな」
「へ?」
「幼平が猫好きと聞いて、夏侯淵殿が邸から飼い猫を連れてきてくれたらしいのじゃが、そのころにはあやつはすっかり年上の諸将に酔い潰されておりましてな。あそこで涼んでいる内に寝入ってしまったのですな。それで、夏侯淵殿が、その上に猫を積みはじめた次第」
 想像するとなかなかシュールな光景だ。どうせ秋蘭もしこたま酔っていたに違いない。
 ひょいひょいと猫を積み上げていく秋蘭……かなりかわいい。
 それにしても、周泰……明命(みんめい)のほうは大丈夫だろうか。
 この間たまたま街で出会って、風がよく構っている猫たちを紹介してやったら真名を教えてくれたきさくな少女は、猫に埋もれてうーうーうめき声をあげている。
 いくら猫が大好きでも、これはなあ……。
「大丈夫かな?」
「息は聞こえておりますから大丈夫でしょう。夜風に熱を奪われずにちょうどよろしいかと」
「気をつけてやってくれよ」
 猫で圧死、なんてことになったら大変だ。
「さて、じゃあ、俺は会場に戻るよ。酔っぱらい共に探しにこられても厄介だし」
 まだ少しふらふらする体に、ふんと一息、気合いを入れる。
「武運を祈っておこう」
「宴席もまた戦場と心得られよ」
「一刀さーん。料理をちょっと持ってきてほしいんですけどー」
「お菓子がほしいのじゃ!」
 それぞれかかる声に苦笑を漏らしつつ、俺は、あったかな気持ちで足どりも軽く宴の場へと戻り始めるのだった。

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